016.『マッチ売りの少女』


~読むだけで売れる力が身につく~「売れる仕組みコラム」


『マッチ売りの少女』
 
「マッチはいりませんか?」
少女は1人、寒い路地でマッチを売っていた。
しかし、買う人はおろか立ち止まる人さえもいなかった。
雪が降り始めたが少女は帰るわけには行かなかった。 そして・・・
 
 
少女は考えた。
そもそも路上でマッチをお金を出して買う人なんているのかしら?
少なくても私は買わないわ。
そうね…無料なら。
 
 
少女はマッチの箱の裏に広告を載せて、それを無料で配る事を思いついた。
 
少女の思いつきは当たり、マッチを無料で配ても広告収入で採算がとれるようになった。
バイトを雇い各町の繁華街に派遣し配布エリアを拡大していった。
 
しかし、業績を伸ばす程に問題が出てきた。
不特定多数にばらまくシステム上、子供たちの手にも渡ってしまい、ボヤ騒ぎの事故が多発してしまった。
マスコミには叩かれ、このままでは賠償金騒ぎまで発展してしまう。
少女は考えた。
子供たちに渡ってしまうのは誤算だったわ。
ターゲットは大人。そうタバコを吸う大人たちだもの。
そうだわ、直接タバコがある所に置いて貰えばいいんだわ。配るバイトさえいらなくなるんだもの!
 
 
少女は路上で配布をやめ、バーやタバコ屋に直接置いてもらう事にした。
だが、配布エリアが限定されたため、広告主が減ってしまった。
 
少女は考えた。
ターゲットが限定されてしまったから広告が取りづらくなったんだわ。
今、広告を見る人はタバコを吸う人だけ…。
そうだわ!
タバコ会社から直接広告をとればいいんだわ!
 
 
少女は業界二番手タバコ会社のガラパス社に営業をかけた。
契約はすんなりと取れ、ユーザーもタバコの銘柄のロゴがあるマッチを珍しがり受け入れられた。
 
瞬く間に、業界二番手のガラパス社は一番手になり、それに伴い契約金も倍増となった。
 
大ヒットのおかげで、生産が追い付かず、少女は多額の契約金を使い、量産できるようマッチ工場を作った。
 
 
一年後、工場が完成したのもつかの間、時代は産業革命と共にマッチからライターにシフトしていた。
業界二番手に落ちたタバコ会社のランデル社がライターを使い少女のビジネスモデルを模範し、業界一位へと返り咲いた。
 
タバコ会社からの契約は切れ、多額の契約金は工場を作るため使い果たし、その工場自体も銀行の抵当に入り、今少女に残された物は膨大なマッチの在庫の山だけだった。
 
 
少女は街に出た。
マッチを売りさばくために。
「マッチ、マッチはいりませんか?」
 
それは雪の降る寒い日だった。
 
 
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“営業せずに売れる仕組み”を探求し、ネットやリアルを問わず、人の心や感情の攻略、心理学にもとづく、セールスマーケティング、コンサルタントとして活躍。  自身もデザイン会社や雑貨ブランドなどを経営し、すべて半年で、ゼロから事業を成功させる。
“売る力を持つことは、夢を実現する力となる”を理念に、営業や集客が苦手な個人事業主に、教科書や卓上の空論ではない、自身で実践して成果が実証されたノウハウを教えて好評を博している。
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